Wiki:プリクラッシュセーフティシステム
PCS(Pre-crash Safety System)は、前方の衝突の危険を検知して警報・ブレーキアシスト・自動ブレーキを作動させる予防安全装置の総称だ。同じ機能でもメーカーごとに呼称が違い、法令側の用語は「衝突被害軽減ブレーキ(AEBS)」、国際基準は国連の協定規則第152号(UN-R152)が対応する。このページは、その登場から各社の呼称と採用センサーまでを年表と一覧で追うためのメモだ。
このページで分かること
2003年2月 トヨタ・ハリアーに市販車で初搭載。ただし、ブレーキアシストの早期作動はあったが、自動でブレーキは無し。 2003年6月 ホンダ・インスパイアで自動でブレーキ操作を実装(CMBS)。
この時期の PCS は、警報とブレーキアシスト(踏み込みに合わせて制動を早めに効かせる支援)が主体で、停止まで自動で行うものではなかった。CMBS は Collision Mitigation Brake System の略で、ホンダの呼称だ(追突軽減ブレーキとも訳される)。
2008年 ボルボ・XC60に自動ブレーキが搭載(日本では2009年に認可がおり発売)
ボルボの City Safety はレーザーセンサーで前方車両を検知し、まず自動ブレーキで衝突回避を狙う方式で、XC60 が初搭載車にあたる。日本では法規の認可を経て2009年に発売され、そこから搭載が広がった。年式によって対応速度域や歩行者検知の有無が変わるため、中古で選ぶときは年式と装備をセットで確認しておきたい。
Volvo City Safety」は9mph (15km/h) 以下に限定して衝突前の停止も自動で行う
9mph(約15km/h)は当時の City Safety の作動上限で、低速域の市街地向けという位置づけだった。現在の衝突被害軽減ブレーキは、対車両・対歩行者の試験条件が国際基準(UN-R152)で定められており、作動速度域は世代ごとに広がっている。ただし実際に作動するかは車種・年式・センサー状態・天候に左右される。性能を断定せず、取扱説明書の作動条件を確認するのが前提になる。
2010年発売のスバル・レガシィに搭載された「EyeSight (ver.2)」では30km/hにまで対応する。両車とも運転者が依存することを避けるために衝突ぎりぎりまでブレーキは掛からず[4]、これによって、それまでプリクラッシュセーフティシステムの自動停止を認めていなかった日本の国土交通省の認可を受けることができた[5]。
EyeSight はステレオカメラ方式で、車間距離制御や車線逸脱警報などと組み合わせて使う構成が特徴だ。世代ごとにプリクラッシュブレーキの対応速度域と対象(前走車→歩行者)が広がってきたため、同じ「アイサイト搭載」でも ver.2 と現行世代では実際の作動範囲が異なる。カタログの名称だけで判断せず、年式・グレードをセットで見る必要がある。
2009年 - ボルボ:シティ・セーフティ
2011年 - フォルクスワーゲン:シティエマージェンシーブレーキ、ボルボ:ヒューマン・セーフティ、メルセデス・ベンツ:PRE-SAFEブレーキ
2012年 - マツダ:スマート・シティ・ブレーキ・サポート、BMW:衝突回避・被害軽減ブレーキ、トヨタ自動車:プリクラッシュセーフティシステム(レクサス・LS、クラウンのみ衝突回避支援型PCS)、三菱自動車工業:衝突被害軽減ブレーキシステム、ダイハツ工業:スマートアシスト
2013年 - ゼネラルモーターズ:オートマチック ブレーキ[8]、フォード・モーター:アクティブ・シティ・ストップ、本田技研工業:CMBS(進化型CMBSのみ自動停止)、スズキ:レーダーブレーキサポート、ホンダ:シティブレーキアクティブシステム、日産自動車:エマージェンシーブレーキ
探査にはミリ波レーダーが使われることが多いが、赤外線レーダーを使用する場合もある。ただし赤外線は太陽の直射光線に弱く、夕方などレーダー機能が働かない場合があることも留意する必要がある。また雨天時の雨粒による誤認識を考慮し、ワイパー作動時には機能がキャンセルされるものもある。なおレーダーに代わってデジタルステレオカメラも使われている。カメラはレーダーに比べて安価ながらより細かい情報が得られる半面、夜間や悪天候時に性能が発揮できない場合があるため[9]、車両によってはレーダーとカメラ双方を装備することで機能の強化を図っている。
センサー方式の違いは、雨・霧・夜間・逆光といった条件で効き方に出る。ミリ波レーダーは天候に強く距離も測れるが静止物の扱いが苦手で、誤検知を避けるために静止物を対象から外す設計も多い。カメラ(ステレオ)は対象の判別に強く安価だが、暗所や逆光に弱い。実際の挙動はメーカーがセンサー融合で作り込んでいるため、搭載センサーの種類だけで優劣を決めるのは避けたい。
ここに並ぶのは各社の呼称と採用センサーの対応関係だ。同じ「衝突被害軽減ブレーキ」でも名称・世代・センサー構成は車種と年式で変わる。特に中古車では「名前が付いている=自動停止まで行う」とは限らず、自動停止の有無は世代で分かれる(上の年表にも、ホンダの CMBS は進化型のみ自動停止、とある)。呼称から機能を調べるときは、その名称が付いた年代もセットで確認したい。
EyeSight(アイサイト)
トマールレーダー (正式名スマートアシスト)
誤発進防止装置は、前方のソナーやカメラで障害物を検知している状態でアクセルが必要以上に踏まれたときに、警報と同時に出力を絞って急発進を抑える装置だ。プリクラッシュセーフティシステムと一体、あるいは同一オプションパッケージとして提供されることが多く、単体で後付けできるものは限られる。近年はペダル踏み間違い急加速抑制装置として JNCAP の評価項目にも入っている。
センサー検知方式[編集] 踏み間違い事故の大半を占める急発進事故への対策として、センサーで障害物を検知している状態で、ドライバーが必要以上にアクセルを踏んだ場合、警報と同時にエンジン出力を絞る事で急発進を防止する装置が発売されている。これらの装置は、プリクラッシュセーフティシステムと一体または同一オプションパッケージとなっており、急発進以外の踏み間違い事故に対しても効果がある。2010年にスバルEyeSightで初めて市販され、2013年にはプリクラッシュセーフティシステムの普及と共に多くの車種に搭載されるようになった。
名称がぶれると調べにくいので、まず用語の対応を押さえておく。
| 用語・略称 | 正式名称・意味 | 主な採用メーカー |
|---|---|---|
| PCS | Pre-crash Safety System(プリクラッシュセーフティシステム) | トヨタほか |
| AEBS | Autonomous Emergency Braking System/衝突被害軽減ブレーキ | 法令・国際基準側の用語 |
| CMBS | Collision Mitigation Brake System(追突軽減ブレーキ) | ホンダ |
| EyeSight | アイサイト(ステレオカメラ方式) | スバル |
| SCBS/SBS | スマート・シティ・ブレーキ・サポート/スマート・ブレーキ・サポート | マツダ |
| FCM | 衝突被害軽減ブレーキシステム | 三菱自動車 |
| スマートアシスト | 軽自動車向けの予防安全パッケージ | ダイハツ・トヨタ(一部) |
日本では、国連の協定規則第152号(UN-R152)に相当する基準を国内へ取り入れ、乗車定員10人未満の乗用車と車両総重量3.5t以下の貨物車に衝突被害軽減制動制御装置の装備を義務付けた。適用時期は国産の新型車が2021年11月、輸入車の新型車が2024年7月、継続生産車が国産2025年12月・輸入2026年7月(軽トラックは2027年9月)という区分になっている。評価面では JNCAP(自動車アセスメント)が衝突被害軽減ブレーキを対車両・対歩行者・対自転車の試験で採点しており、年式ごとの実力比較はここを見るほうが確実だ。国交省の発表にも「運転支援装置はあくまで安全運転の支援であり、機能には限界がある」と明記されている。作動条件はメーカー・車種ごとの取扱説明書で確認するのが前提になる。
Q. PCS(プリクラッシュセーフティシステム)があれば停止まで自動でやってくれる?
A. 年式と世代による。初期の PCS は警報とブレーキアシストが主体で、自動停止は限定的だった。自動停止の有無や作動速度域は車種・年式で変わるので、装備名称だけで判断せず、取扱説明書の作動条件を確認するのが前提になる。
Q. 「自動ブレーキ」と「衝突被害軽減ブレーキ」は同じもの?
A. ほぼ同じものを指す通称と法令用語の関係だ。法令・国際基準側の用語が衝突被害軽減ブレーキ(AEBS)で、メーカーは CMBS、EyeSight、SCBS などの独自名称を付けている。
Q. ミリ波レーダーとカメラ、どちらが優れている?
A. 一概に決まらない。レーダーは夜間や悪天候に強く距離測定に向き、カメラは対象の判別や歩行者検知に向く。多くの車は両方を組み合わせている。夕方の逆光や雨粒で誤認識する例もあるので、単純な優劣ではなく採用構成と作動条件で見るほうがよい。
Q. 中古車で安全装置の有無を確認するには?
A. 年式・グレードと、JNCAP の評価結果、メーカーの装備表を突き合わせる。同じ車名でもマイナーチェンジで世代が変わり、自動停止の有無や対応速度域が変化する。カタログの「アイサイト」「スマートアシスト」という表記だけでは世代を特定できない点に注意する。
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